セキュア・バンク株式会社
プレスリリースSovereign Dike Live E2E

国産AI脆弱性診断エンジン「Sovereign Dike」、Web探索からAI分析・レポート生成までの一連の動作検証に成功

― セキュア・バンク、AIによる検証判断・安全制御・日本語レポート機能の開発を進め、商用化に向けた技術基盤を強化 ―

セキュア・バンク株式会社(本社:東京都、以下「SecureBank」)は、国内で研究開発を進める国産AI脆弱性診断エンジン「Sovereign Dike(ソブリン・ディーケ)」について、2026年10月13日、社内模擬Web環境におけるLive E2E動作検証に成功しました。Webサイトの探索からAIによる分析、診断候補の整理、経営者向け・技術者向けレポートの生成、安全な完了処理まで、一連の診断処理が途中で止まることなく完走しています。

あわせて、AIが検証結果を確認し、次に何を調べるべきかを判断する「Agentic Reasoning Loop」を開発し、その2ループの制御をOffline環境の統合テストで確認したほか、日本語レポート、安全制御、顧客向け画面など、商用化に向けた機能の開発も進めています。研究開発の段階から、企業が実際に使える診断サービスに向けた技術基盤づくりへと、着実に前進しています。

※今回整理された診断候補はいずれも検証未完了であり、脆弱性の存在を確定したものではありません。検証の範囲と今後の課題は「現時点での到達範囲と今後の課題」にまとめています。

今回の3つの成果

  1. 01Live実行で完走Web探索からAI分析・レポート生成までが一連で完走実際のAI API(OpenAI API)を用いて、Web探索、証拠情報の取得、AI分析、診断候補の整理、レポート生成、完了処理までが途中で止まることなく完走しました。
  2. 02Offline統合テストで確認AIが次に調べるべきことを判断するAgentic Reasoning Loopを開発AIが検証結果を確認し、次に何を調べるべきかを判断する仕組みを開発し、その2ループの制御の流れをOffline環境の統合テストで確認しました。Live環境での実証は今後です。
  3. 03開発中日本語レポート・安全制御・顧客画面など商用化準備が進展経営者向け・技術者向けの日本語PDFレポート、顧客向け診断画面、管理者向け承認画面、納品制御などの開発を進めています。

成果① Web探索からAI分析・レポート生成までのLive E2E完走

2026年10月13日、当社が用意した社内模擬Web環境を対象に、実際のAI API(OpenAI API)を呼び出して、次の一連の処理を実行しました。Sovereign Dikeによる診断は、検証の許可を得た対象・範囲においてのみ行うことを前提としています。

図1

Live E2E実証フロー

2026年10月13日、当社の社内模擬Web環境で、次の6工程が途中で止まることなく一連で完走しました。

Live E2Eで完走2026年10月13日/社内模擬Web環境
  1. 1

    Webサイト探索

    社内模擬Web環境のページや入口を、自動で探索します。

  2. 2

    証拠情報(Evidence)の取得

    診断の根拠となる情報を取得・保存します。

  3. 3

    OpenAI APIによるAI分析

    取得した証拠情報をAIが分析します。

  4. 4

    診断候補(Finding)の整理

    いずれも検証未完了

    診断結果の候補を整理し、根拠となる証拠情報と自動で紐付けます。

  5. 5

    レポート生成

    経営者向け・技術者向けの2種類のレポートを生成します。

  6. 6

    安全な完了処理

    完了まで到達

    実行後の後片付け(Cleanup)を行い、完了状態(COMPLETE)まで到達します。

整理した診断候補は、いずれも検証が完了していない状態(VALIDATION_INCOMPLETE)です。脆弱性の存在を確定したものではなく、お客様のサイトを対象とした結果でもありません。

Webサイト探索

完了

証拠情報(Evidence)の取得

完了

AI分析

完了

OpenAI APIを利用

診断候補(Finding)の整理

完了

いずれも検証未完了

EvidenceとFindingの紐付け

自動

レポート生成

2種類

経営者向け・技術者向け

完了処理(Cleanup/COMPLETE)

到達

Evidence(証拠情報)は「診断の根拠となる情報」、Finding(診断候補)は「診断結果の候補」です。今回は、AIが整理した診断候補と、その根拠となる証拠情報とが自動で紐付けられ、「どの候補が、どの根拠にもとづいているのか」をレポート上でたどれる形で出力されることを確認しました。診断の結果を、根拠とあわせて経営者・技術者それぞれに届けるという、診断サービスの基本となる流れが、Live環境で最後までつながったことになります。

9月30日の発表からの前進

Sovereign Dikeは、9月13日の試作版、9月16日のパイロット版の受入確認、9月30日のPhase 1 End-to-End技術検証の完了と、段階を踏んで開発を進めてきました。今回は、実際のAI APIを呼び出して動かすLive環境で、AI分析を含む一連の診断処理が完走したことが新たな到達点です。9月30日の発表との主な違いは次のとおりです。

検証の位置付け
9月30日Phase 1のEnd-to-End技術検証の完了と、社内のPhase 1最終判定への到達
今回実際のAI APIを呼び出して動かすLive環境での、一連の診断処理の完走
AIによる分析
9月30日(同発表の範囲外)
今回OpenAI APIを用いたAI分析を、一連の処理の中で実行
診断候補の扱い
9月30日Finding(指摘事項)1件を生成
今回診断候補を整理し、根拠となるEvidenceと自動で紐付け(いずれも検証未完了)
レポート
9月30日Reportを生成
今回経営者向け・技術者向けの2種類のレポートを生成
処理の締めくくり
9月30日Audit(監査記録)の作成と2系統の検証処理
今回後片付け(Cleanup)を行い、完了状態(COMPLETE)まで到達
AIの検証判断
9月30日(同発表の範囲外)
今回2ループの制御を統合(Offline環境の統合テストで確認。Liveでの実証は今後)

成果② AIが次に調べるべきことを判断する ― Agentic Reasoning Loop

セキュリティ診断では、一つの確認結果から「次に何を確かめるべきか」が見えてくることがあります。人の診断担当者が、結果を見ながら次の確認方法を考えるのと同じように、AIが検証結果を確認し、次に何を調べるべきかを判断する仕組みが、Agentic Reasoning Loopです。

手法の考え方として、あらかじめ決めた項目を順番に確認する定型的な検査と比べると、次のような違いがあります。

概念上の比較

定型的な検査

あらかじめ決めた検査項目を、決めた順番で実行します。

  • 確認する内容と順番は、実行前に決まっている
  • 途中の結果を見て、次に調べる内容を変えることは基本的にない
Sovereign Dike

Agentic Reasoning Loop

AIが検証結果を確認し、次に何を調べるべきかを判断します。

  • 得られた証拠をもとに、仮説を立て直す
  • 続けるか、方法を変えるか、終えるかを選び、次の検証へ進む
  • 判断の回数には上限(最大2ループ)があり、条件に当たれば停止する

※この比較は診断手法の考え方の違いを示したもので、特定の製品・サービスとの比較ではありません。

Sovereign Dikeでは、AIが仮説を立て、検証の方法を計画し、証拠を取得し、その結果を評価して、次の検証方法を選びます。このループを最大2回まで繰り返し、診断候補がどう更新されたかを更新履歴としてレポートに反映します。AIに判断を任せる一方で、同じ検証の繰り返し、許可された範囲の外への逸脱、実行予算の超過に当たった場合は先へ進めずに停止するなど、AIの判断と安全の仕組みを組み合わせて設計しています。

図2

Agentic Reasoning Loop ― 結果をもとに、次の検証方法を判断する

検証の結果をAIが評価し、次に何を確かめるかを判断して、もう一度検証へ戻ります。ループは最大2回までとし、条件に当たった場合は安全に停止します。

2ループの制御:Offline統合テストで確認(v0.5)

Live環境での2ループ実証は今後実施

1回のループ

  1. 仮説生成

    AIが確かめるべき仮説を立てる

  2. 検証計画

    仮説を確かめる検証の手順を計画する

  3. 証拠取得

    診断の根拠となる情報を取得する

  4. 結果評価

    得られた情報から仮説を再判断する

  5. 次の検証方法を判断

    続けるか、方法を変えるか、終えるかを選ぶ

「仮説生成」へ戻る(最大2ループ)

安全停止の仕組み

次のいずれかに当たった場合は、検証を先へ進めず停止する設計です。

  • 同じ検証の繰り返し

    重複検証

  • 許可された範囲の外へ出る

    Scope逸脱

  • 定めた実行予算を超える

    予算超過

安全停止

ループの中で診断候補がどう更新されたかは、更新履歴としてレポートに反映します。

※ 図は設計上の仕組みです。2ループの制御の流れはOffline環境の統合テストで確認した段階で、実際のAI APIを用いたLive環境での2ループの実証は、まだ行っていません。

この仕組みは、SecureBankが並行して進めている、30BクラスのローカルLLM(Qwen)とセキュリティ課題の評価環境CyberGymを用いたCyber AI研究から生まれたものです。その研究で開発した仮説生成、Tool Router(検証手段の選択)、Feedback Controller(結果にもとづく再判断)などの技術を、Sovereign Dikeに再利用しています。なお、本リリースはCyberGymにおける性能や課題の解決実績を発表するものではありません。

成果③ 日本語レポート・安全制御・顧客画面など、商用化準備が進展

診断結果をお客様へ分かりやすく、安全にお届けするための機能について、開発を進めています。

経営者向け・技術者向けの日本語PDFレポート

読み手に合わせて、経営判断に必要な要点と、技術的な対応に必要な情報を分けた日本語のPDFレポートを生成します。

診断候補ごとのリスク・影響・根拠・改善推奨

診断候補(Finding)ごとに、想定されるリスクと影響、根拠となる証拠情報(Evidence)、改善の推奨をまとめます。

顧客向け診断画面

お客様が診断の状況や結果を確認するための画面です。

管理者向け承認画面

当社の担当者が、診断の実行や結果の納品を承認するための画面です。

顧客別の納品制御

レポート等の成果物を、対象のお客様にだけ納品するための制御です。

安全制御 ―「どこまで動いてよいか」「いつ止まるべきか」を仕組みにする

AIに検証の判断を任せる範囲が広がるほど、その範囲と止まる条件を仕組みとして決めておくことが重要になります。項目ごとに、現在の段階を示しています。

  • 運用の前提

    許可された範囲内での診断

    診断は、検証の許可を得た対象・範囲に限って行います。許可のない対象への診断は行いません。

  • 開発中

    Scope逸脱の防止

    AIが判断した次の検証が、許可された範囲(Scope)の外へ出る場合は、先へ進めず停止します。

  • 開発中

    重複検証の制御

    同じ検証を繰り返すだけになっている場合は、それ以上進めず停止します。

  • 開発中

    実行予算の制御

    あらかじめ定めた実行の予算(上限)を超える場合は、先へ進めず停止します。

  • 開発中

    安全停止

    上記の条件に当たった場合に、処理を先へ進めず安全側で止める仕組みです。

  • Live実行で到達を確認

    後片付けと完了状態の確認

    実行後の後片付け(Cleanup)を行い、完了状態(COMPLETE)に到達したことを確認します。

  • 開発中

    完了状態に基づく納品制御

    後片付けと完了状態の確認が成功した場合に限り、レポートを納品できるようにする仕組みです。

※「Live実行で到達を確認」は10月13日のLive実行で到達したもの、「開発中」はLive実行での個別の実証を行っていないものです。商用化準備の各機能は、本番サービスとしての提供を開始したものではありません。

企業にとっての将来的な価値

Sovereign Dikeは、こうした技術を組み合わせることで、企業のWebセキュリティ対策を次のように支えることを目指しています。

診断の自動化

Webサイトの探索から、根拠となる情報の取得、AIによる分析、レポートの作成までを、一連の処理として自動で実行できる仕組みを目指しています。今回、その一連の流れがLive環境で最後まで動くことを確認しました。

担当者の負担軽減

診断候補ごとに根拠となる証拠情報が紐付き、経営者向け・技術者向けに分けた日本語レポートとして受け取れる形を目指しています。社内での説明や、対応の優先順位を検討する際の手間を減らすことが狙いです。

継続的なセキュリティ対策への貢献

Webサイトは更新のたびに状態が変わるため、一度きりではなく継続的な確認が大切です。探索から完了確認までを一連の処理として実行できる仕組みは、定期的に診断を繰り返しやすい基盤につながると考えています。

安心して任せられる運用

許可された範囲の外へ出ない制御、条件に当たれば止まる安全停止、担当者による承認、完了状態を確認してからの納品など、企業が安心して任せられる運用を支える仕組みを重視しています。

※いずれも将来の提供に向けて目指している価値であり、今回の検証で効果を測定・実証したものではありません。

現時点での到達範囲と今後の課題

確認できたことと、これから取り組むことを区別してお伝えします。

今回確認できたこと

  • 社内模擬Web環境で、Web探索、証拠情報(Evidence)の取得、OpenAI APIによるAI分析、診断候補の整理とEvidenceとの自動紐付け、経営者向け・技術者向けレポートの生成、後片付け(Cleanup)と完了状態(COMPLETE)への到達までを、Live実行で一連で通したこと
  • Agentic Reasoning Loopの2ループの制御の流れを、Offline環境の統合テストで確認したこと(v0.5)
  • 日本語PDFレポート、顧客向け診断画面、管理者向け承認画面、顧客別の納品制御、完了状態に基づく納品制御の開発を進めていること

今後の課題(まだ実施・完了していないこと)

  • 整理した診断候補の検証。いずれも検証未完了(VALIDATION_INCOMPLETE)であり、脆弱性の存在は確定していません。SecureBankは、検証によって裏付けられたものだけを脆弱性として扱い、検証未完了の候補は件数と分けて扱います。
  • Agentic Reasoning LoopによるAIの判断を、Live環境で2ループにわたって実証すること。10月13日のLive実行は、2ループ制御の実証を含んでいません。
  • 許可を得た実際のWebサイトを対象とした診断
  • 商用化準備の各機能の完成と、本番環境での提供

本リリースが示すものではないこと

  • 脆弱性を発見・確定したことを示すものではありません。
  • 実際のお客様のサイトでの検出実績ではありません。今回の検証は、当社の社内模擬Web環境で実施しました。
  • 実在するシステムへの侵入に成功したことを示すものではありません。
  • 商用サービスの完成や提供開始を示すものではありません。
  • AIの判断だけで診断を完結させる、完全に自律した診断の完成を示すものではありません。
  • 診断処理を国内で完結させる構成を実現したことを示すものではありません。今回のLive実証では、OpenAI APIを利用しています。
  • 診断にかかる時間や工数の削減効果を、測定・実証したものではありません。

これまでのリリースと同様に、SecureBankは機能を実装した事実だけをもって成果を主張せず、確認できた範囲を区別して公表する方針を継続します。

今後の展開

次の段階として、以下を予定しています。

  1. 1

    許可を得た実際のWebサイトでの診断予定

    検証の許可を得た実際のWebサイトを対象に、一連の診断処理を検証する予定です。

  2. 2

    v0.4のLive追加検証予定

    今回のLive E2Eに続き、追加のLive検証を予定しています。

  3. 3

    v0.5の自律2ループのLive実証予定

    Offline環境で完走した2ループ制御を、Live環境で実証する予定です。

  4. 4

    日本語レポートの品質改善予定

    経営者向け・技術者向けの日本語レポートを、より分かりやすく実用的な内容へ改善していきます。

  5. 5

    限定的な顧客Pilot予定

    範囲と条件を限定したうえで、お客様環境での先行検証(Pilot)を進める予定です。

  6. 6

    ローカルLLM対応の研究予定

    外部のAI APIだけに頼らず、ローカルLLMでも診断処理を行えるようにするための研究開発を進めます。

  7. 7

    将来的な顧客環境内での稼働予定

    将来的には、お客様の環境の中でSovereign Dikeを稼働させる形での提供を検討しています。

内容や順序、時期は検証の結果により変更となる可能性があります。

Sovereign Dikeについて

Sovereign Dike(ソブリン・ディーケ)は、SecureBankが国内で研究開発を進めるAI脆弱性診断エンジンです。探索・証拠情報の取得・AI分析・診断候補の整理・レポート生成・納品までを、安全制御と根拠の記録を伴って一貫して扱える基盤を目指しています。

技術補足:本リリースで用いる用語

Live E2E
実際のAI API(今回はOpenAI API)を呼び出して、処理の始まり(Web探索)から終わり(完了処理)までを途中で切らずに一連で実行すること。
Offline統合テスト
Live実行ではない社内の検証環境で、複数の機能を組み合わせた一連の処理の流れを確認すること。
Evidence(証拠情報)
診断の根拠となる情報。何をどう確認したのかを後からたどるために保存する。
Finding(診断候補)
Evidenceに基づいて整理される、診断結果の候補。検証を経て確定するまでは、脆弱性とは扱わない。
VALIDATION_INCOMPLETE
検証が最後まで完了していない状態。脆弱性の件数には算入せず、別枠で扱う。
Harness
AIに任せる判断と、仕組みとして固定する制御を組み合わせ、AIの動きを管理・制御する枠組み。
Agentic Reasoning Loop
AIが検証結果を確認し、次に何を調べるべきかを判断して再び検証へ戻る、閉じたループ。Sovereign Dikeでは最大2ループとしている。
Scope
診断してよい対象と範囲。
Cleanup/COMPLETE
Cleanupは実行後の後片付け、COMPLETEは一連の処理が完了した状態。

OpenAIは、OpenAI社の商標または登録商標です。その他、記載されている会社名・製品名・サービス名は、各社の商標または登録商標です。

セキュア・バンク株式会社について

セキュア・バンク株式会社は、日本エンタープライズ株式会社のグループ会社として、サイバーセキュリティ領域における各種サービス・技術開発に取り組んでいます。

AI技術の進展を踏まえ、従来型のサイバーセキュリティサービスに加え、AIを活用したセキュリティ技術の研究開発を推進していきます。

これまでのリリースはお知らせ一覧からもご覧いただけます。

お問い合わせ